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Writer's pictureHiroshi Goto

ソーシャル・セキュリティ:子どもが受け取れる条件とは

Updated: Jun 9

 

配偶者が受け取れる配偶者年金(Spousal Benefits)と遺族年金(Survivor Benefits)については、すでに「ソーシャル・セキュリティ:配偶者年金の注意点」や「ソーシャル・セキュリティ:意外と複雑な遺族年金」で解説しました。今回の記事では、子どもを中心に扶養家族に関連する年金についてまとめてみます。

 


ソーシャル・セキュリティ:配偶者以外の扶養家族が受け取れる年金

 

支給対象となる扶養家族

実子(biological children)以外にも養子(legally adopted children)や継子(stepchildren)も支給対象になります。子どもの受給資格は、未婚かつ18歳未満(高校在学中は19歳未満)です。

 

22歳未満で障がい者となった子どもは、Substantial Gainful Activity以上の所得(2024年は盲目の場合$2,590/月、それ以外の障がい$1,550/月)がなく、かつ未婚であれば、年齢に関係なく、大人でも支給対象になります。

 

所得実績のある親が老齢年金・障害年金を受給する場合の子どもへの支給額は、親のPrimary Insurance Amount(PIA)の50%です。その親がすでに老齢年金か障害年金を受給開始していることが支給条件になります。親が仮に繰り上げ受給による減額を受けていても、子どもの受給額は50%で変わりありません。

 

さらに、16歳未満の子どもを持つ配偶者も支給(同じくPIAの50%)の対象になります。

 

所得実績のある親が亡くなった場合の子どもへの遺族年金の支給額は、PIAの75%です。遺族年金の場合は、18歳未満(高校在学中は19歳未満)または22歳未満で障がい者となった子ども、16歳未満の子どもを持つ配偶者に加え、扶養されていた62歳以上の親も支給対象になります。

 

所得実績のあった人のPIAを基準に支給率をまとめると、下表の通りです。


支給率

なお、上記の受給者は、所得テスト(earnings testの対象となります。

 

 

家族の最大受給額による制限

家族の受給額を足し合わせると高額になることがあり、これを制限するために家族の最大受給額(Family Maximum Benefits)という制限があります。家族の最大受給額は、一人の所得実績による受給額総額に上限を設けるルールです。一般的にPIAの150%から180%になります。ちなみに離婚しているケースでは、元配偶者が受給する年金は受給額総額に含まれません。

 

老齢年金・遺族年金の場合の最大受給額計算式は、次の通りです。

 

PIAのうち、

$1,500以下の部分の150%、

$1,500超$2,166以下の部分の272%、

$2,166超$2,825以下の134%、

$2,825超の175%

を足し合わせます($1,500、$2,166、$2,825は2024年に62歳になるか62歳より前に他界した人の基準値)。これが家族の最大受給額となります。

 

たとえば、PIAが$3,000の場合、

150%×$1,500 = $2,250

272%×$666 ($2,166 - $1,500) = $1,812

134%×$659 ($2,825 - $2,166) = $883

175%×$175 ($3,000 - $2,825) = $306

で、合計は$5,251(PIAの175%)です。

 

障害年金の場合の最大受給額は、調整後平均月次報酬(AIMEの85%、ただし、PIAが下限、PIAの150%が上限となります。

 

 

ケース・スタディ

以下の家族の例で考えてみましょう。


ケース・スタディ

純一が62歳で老齢年金を受給開始したケースでは、家族の年齢に応じて以下の受給額の推移になります。

家族の受給額推移

まず純一が62歳で受給開始した時点で、16歳香織、13歳優斗、16歳未満の子どもを持つ配偶者の真由美も純一のPIAの50%($1,100)の支給対象になります。ただしこの時、家族の最大受給額$4,107に制限され、3人の受給額は$856ずつになります。

 

そして、香織が18歳になり支給対象から外れた時、真由美と優斗の受給額は$1,100ずつになります。その後、優斗が16歳で真由美が支給対象から外れ、優斗が18歳で優斗自身が支給対象から外れます。この例では、真由美は67歳から配偶者年金を受給開始します。

 

では、この年金請求ケースを他のケースと比較してみましょう。純一、真由美とも標準受給開始年齢(67歳)で請求するケース、純一は70歳まで繰り下げ真由美は標準受給開始年齢(67歳)で請求するケースを取り上げてみました。


年金請求ケース比較

 一言でいうと、純一の受給を遅らせた方が、真由美が67歳(標準受給開始年齢)になった後の年金月額や夫婦の生涯受給額(子ども分含む)は多くなります。とは言え、早く給付を受ける必要がある場合には、純一62歳で受給開始する選択肢もあり、このトレードオフはそれぞれの家計の判断になるかと思います。

 

当社では、様々な受給額シミュレーションからご家族のベストな年金請求年齢を探すリタイアメント・インカム・プランニングを承っております。お気軽にお問い合わせください。

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