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アメリカの介護事情

Writer: Hiroshi GotoHiroshi Goto

先日メディケアについての基本的事項を記事にまとめました。今回はメディケアでほとんどカバーされない介護(Long-Term Care)について、アメリカの実情を整理したいと思います。

 

アメリカの介護事情


介護とは

LongTermCare.govによると、介護とは、「多くの場合医療ではなく、日常生活を送るにあたって必要となる基礎的、個人的動作を補助する一連のサービスやサポート」とされ、以下のActivities of Daily Living (ADLs)が挙げられています。

  • 入浴-Bathing

  • 着替え-Dressing

  • トイレの使用-Using the toilet

  • (ベッドや椅子からの)移動-Transferring (to or from bed or chair)

  • 排せつ(失禁)ケア-Caring for incontinence

  • 食事-Eating


介護の原因としては、以下のデータがありました。原因として、年齢に起因する身体的制限、認知機能障害、疾患の順になっています。

介護の原因

出所:Beyond Dollars 2021, Genworth

 

 

どのぐらいの介護が必要になるのか

これもLongTermCare.govですが、以下の通りです。

  • 65歳の人が将来何らかの介護を必要とする確率は約70%

  • 女性(3.7年)の方が介護を必要とする期間が男性(2.2年)より長い

  • 65歳の人の1/3は全く介護を必要としないかもしれないが、20%の人は5年超の期間にわたる可能性がある


介護サービスの利用状況

出所:LongTermCare.gov

 

一方日本では、令和5年版高齢社会白書を見ると、75歳以上の人でそれぞれ要支援*、要介護**の認定を受けた人の割合を見ると、8.9%、23.4%となっており、両方あわせて32.3%です。


要介護等認定の状況

         出所:令和5年版高齢社会白書


*日常生活上の基本的動作については、ほぼ自分で行うことが可能であるが、日常生活動作の介助や現在の状態の防止により要介護状態となることの予防に資するよう手段的日常生活動作について何らかの支援を要する状態

**日常生活上の基本的動作についても、自分で行うことが困難であり、何らかの介護を要する状態


統計の取り方が違うので比較が難しいですが、アメリカは在宅の有料介護(Paid Care)だけで 42%とあります。介護保険が利用しやすい日本に比べて、介護費用が高額なアメリカでは、本来介護サービスを利用したい人も有料サービスの利用を我慢しているかもしれません。そのように想定すると、遺伝的特性や食習慣・生活習慣により、潜在ニーズも含めた介護を必要とする人の割合は日本より相当高いのではないかと思います。

  

また、日本の介護期間平均は5年1か月(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度)とあります。アメリカのいずれかのサービス利用平均3年は、日本に比べると、6割ぐらいの期間にとどまっています。費用が高額なことや子ども家族と遠く離れて住んでいることなどから、介護の利用開始時期が遅いということかもしれません。

 

 

高い介護費用

  • 看護施設(Nursing Home)の個室の年間コスト中央値は約108千ドルで、半個室は約95千ドルでした。

  • アシステッド・リング施設のワンベッドルームユニットの年間コスト中央値は54千ドルで、前年から4.65%増加しています。

  • 成人のデイケアの1日当たりの中央値は78ドルでした。


介護コスト平均

出所:Genworth Financial Cost of Care Survey 2021

 

介護費用は、必要な具体的なサービスと提供地域によって大きく異なります。以下に州別平均年間コストのトップ5、ボトム5をまとめました。詳細はGenworth Financial Cost of Care Survey 2021をご覧ください。


州別介護コスト

出所:Genworth Financial Cost of Care Survey 2021

 

一方、日本の介護コストはというと、さきほどの生命保険文化センターによると、介護費用は一時的な費用が平均74万円、月々の費用が平均8.3万円とあります。アメリカと日本では、桁が一つか二つ違う状況です。


 

どのように介護費用を賄うか

一般的に、メディケアは長期介護の費用を支払いません。メディケアは医学的に必要な高度看護施設(skilled nursing facilities)や高度在宅看護(skilled home health)のみを支払い、それらのサービスも特定の条件が満たされ、短期間しか提供されません。

 

メディケイドは州によって管理される連邦プログラムで、低所得かつ資産をほとんど持たない人々のために、一部の医療サービスや介護施設の費用を支払います。メディケイドの支払いは、一定の困窮状態の場合にのみ利用できます。

 

これは長期介護の費用を支払うために、自分の資産や個別に加入した民間保険を利用する必要があることを意味します。介護保険については、また別の記事でまとめたいと思います。

 

 

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