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ミュニシパル債:非課税の利息収入で効率よく資産運用

Updated: Oct 17


資産運用と聞くと、株式が思い浮かぶ方も多いでしょう。しかし、安定した収入を得たい人やリスクを抑えたい人には、「債券」への投資もおすすめです。今回は、米国で個人投資家に人気のある「Municipal Bond(ミュニシパル債)」について、解説します。


インフラ整備


ミュニシパル債とは

ミュニシパル債(Municipal Bond)は、地方自治体(市や郡、州など)が発行する債券のことです。日本語では「地方債」とも呼ばれます。自治体が公共事業(学校や病院、道路建設など)やインフラ整備のために資金調達を行う際、投資家に対して証券を発行し、満期までの間、利息を支払います。


 

国債や社債との違い

  • 国債は政府が発行する債券

  • 社債は民間企業が発行する債券

  • ミュニシパル債は地方自治体が発行する債券

このように、発行主体が違うだけでなく、発行目的や税制面でも大きな違いがあります。



最大の特徴:利息収入が非課税

ミュニシパル債の最大の魅力は、利息収入(インカム)が非課税になる点です(例外あり)。

 

通常、債券の利息収入には所得税がかかります。しかし米国の税制では、ミュニシパル債の場合、一般的に連邦所得税が非課税になります。また、投資家がミュニシパル債を発行した自治体の州の居住者であれば、多くの場合、州税も非課税になります。このため、税金を気にせず安定した利息収入を得ることができます。

 

なお、債券の価格変化から生じた収益(キャピタル・ゲイン)は課税対象になります。債券は性質上、金利が上がれば価格が下落し、金利が下がれば価格が上がります。



なぜ非課税になるのか

地方自治体は、市民の生活を支える公共事業を行うために資金を調達します。そのため、政府は自治体の資金調達を支援するため、投資家へのインセンティブとして利息収入を非課税にしています。これにより、自治体も低い金利で資金を集めることができ、投資家も税負担の少ない投資先として魅力を感じることを企図しています。



ミュニシパル債のメリット

  • 税金を払わずに安定した利息収入を得られる

    同じ金利であれば、他の金利商品と比較して、税引き後の手取りが多い。

  • 信用度が高い自治体が多い

    信用度が高い地方自治体の債券であれば、倒産リスクが低い。

  • 社会貢献につながる

    学校や病院、道路など公共事業への資金が使われるため、投資が地域社会の発展に役立つ。

  • リスクの低減

    債券は価格変動が比較的穏やかで、リスクが低い傾向がある。株式やリートなど他の資産と組み合わせることで、ポートフォリオのリスクを低減できる。



ミュニシパル債のデメリット・注意点

デメリットは、利息非課税の恩典のために投資家の人気が高く、他の金利商品(CD、MMF、国債など)と比べると、額面(税引き前)の利率がやや低いことです。

 

また、リスクが低いとはいえ、投資である以上、ゼロではありません。

  • 金利変動リスク

    市場金利の上昇により、債券価格が下がることがある。

  • 信用リスク

    自治体の財政が悪化した場合、利息の支払いが滞る可能性がある。

 


ミュニシパル債への投資が適している方

利息収入が非課税、額面利率が他の金利商品よりやや低いというミュニシパル債の特徴を考慮すると、連邦所得税のTax Bracket(累進所得税率)が高い方におすすめの投資対象です。

 

具体的に数字で確認してみましょう。以下の例は、連邦所得税のTax Bracketが22%、州所得税率7%の場合です。

 

  • 通常の金利商品(CD、MMFなど)

    額面(税引き前)利率:4%

    連邦所得税Tax Bracket:22%

    州所得税率:7%

    税引き後利率:4% x (100% - 22% - 7%)=2.84%

 

  • ミュニシパル債

    額面(税引き前)利率:3.6%

    州所得税率:7%

    税引き後利率:3.6% x (100% - 7%)=3.35%


ミュニシパル債の額面(税引き前)利率は他の金利商品より低くても、税引き後利率は高くなります。この税効果は、連邦所得税のTax Bracketが高いほど大きくなります。


上記の額面利率は2025年9月初旬の水準を参考にしていますが、変動しますので、税引き後で利率が有利かどうか、投資前に都度確認する必要があります。

 

州税については、ミュニシパル債を発行した自治体の州の居住者であれば、一般的に州税も非課税になります。州所得税率が高い方は、その州の自治体が発行したミュニシパル債に投資することで、州税についても同様の税効果が得られます。なお、居住州外の自治体が発行したミュニシパル債の利息は、州税が課税されます。



ミュニシパル債に投資する方法

債券は株式と異なり、売買単位が大きい傾向(50万ドル~)があります。したがって、個人投資家にとっては、個別の債券を購入するのは現実的ではありません。

 

幸い、多数の債券で構成されたMutual FundやETFが提供されていますので、これらのファンドの中で運用の質が高く、極力低コストのファンを選んで、ミュニシパル債に投資するのがよいでしょう。

 

なかには、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、ニューヨーク州など特定の州居住者向けに、州税も非課税になるよう、その州のミュニシパル債だけに投資するファンドもあります。



まとめ

ミュニシパル債は、様々な金利商品の中で、連邦所得税のTax Bracket(累進所得税率)が高い方、州所得税率が高い方にとって、魅力のある選択肢です。債券は価格変動が比較的穏やかで、リスクが低いため、ポートフォリオのリスクを低減させるツールにもなります。

 

なお、401(k)やIRAなどそもそも運用収益が非課税になる口座では、ミュニシパル債に投資する意味はありません。他の金利商品に比べて額面利率が低い分、投資効果が低いだけになってしまいます。



※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資アドバイスを目的として作成したものではありません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもありません。投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。


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