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今後の所得税減税措置のゆくえ

Writer: Hiroshi GotoHiroshi Goto

トランプ大統領は就任以来、矢継ぎ早に政策を打ち出しており、その動静がニュースにならない日はありません。最近は連日、関税がらみの話題で持ちきりです。


個人に関係する税金のトピックでは、今の所得税率はトランプ大統領一期目の減税措置によるものであることをご存じですか。このまま法律の定め通りに行くと、この減税措置は2025年末で期限切れとなります。


今後の所得税減税措置のゆくえ


2018年からの減税措置とは

この減税措置は、2017年に成立したTax Cuts & Jobs Act (TCJA)によるものです。非常に数多くの税制変更が含まれていますが、個人の所得税に関するものを抜き出すと以下の通りです。

  • 所得税率の引き下げ:

TCJA前後の税率

  • 所得税の標準所得控除(Standard Deduction)の引き上げ:単身者申告$6,500から$12,000へ、夫婦合算申告$13,000から$24,000へ


  • 項目別所得控除(Itemized Deduction)の制限:State and local taxの上限引き下げ、Mortgage interestの上限引き下げ、Miscellaneous deductions(AGIの2%)の停止


  • 人的控除(Personal exemptions)の停止と Child Tax Credit(税額控除)の引き上げ:一人あたり$1,000から$2,000へ



TCJA期限切れによる影響

TCJAが期限切れになるとそれ以前の所得税制に戻りますので、増税になります。標準所得控除は半減し、税率も多くのTax Bracketsで上がります。Child Tax Creditを受けている方は、税額控除額が半減します(一方で、人的控除が復活します)。


TCJA施行後は標準所得控除を利用する人の割合が高くなっていましたが、標準所得控除が半減することと項目別所得控除の制限措置がなくなることにより、項目別所得控除を利用する人が増えるでしょう。



トランプ大統領の選挙公約

トランプ大統領はこのTCJAの延長または恒久化をかかげて、選挙に勝利しました。そのことから、TCJAの減税措置は少なくとも延長されるとの見方が強いです。


そのほかにトランプ大統領が選挙期間中にかかげた政策には、以下のものがあります。

  • チップ収入を所得税課税対象から除く

  • 残業代を所得税課税対象から除く

  • ソーシャル・セキュリティ給付を所得税課税対象から除く

  • 自動車ローンを項目別所得控除で控除可能とする

  • バイデン大統領時代のInflation Reduction Actにより導入されたクリーン・エナジー税額控除を廃止する

このほかにも、選挙期間中にはバンス副大統領が言及したChild Tax Credit引き上げなどのアイディアもありました。


TCJAの延長・恒久化とトランプ大統領の選挙公約がどのような法案となってくるのか、下院・上院の議論を経てどのような修正がされるのかが、今後の注目ポイントです。


なお、現在の個人所得税率は歴史的に低水準となっており、TCJAによる減税措置が近年の財政赤字の主因である事実もふまえておきたいところです。

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