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Writer's pictureHiroshi Goto

アメリカのキャピタル・ゲイン税制の基本

Updated: Jan 25, 2024

キャピタル・ゲイン/ロスは、投資家にとって税金面で非常に重要なファクターです。これらの仕組みがどのように納税者に影響するかをわかりやすく見ていきましょう。


キャピタル・ゲイン税制

1. キャピタル・ゲイン/ロスの基本

キャピタル・ゲインとは、投資の売却から生じる利益のことで、これは課税対象の所得とされます。例えば、100株のABC株をそれぞれ$10で買い、後で$20で売却すると、$1,000のキャピタル・ゲインが発生します。逆に、100株のXYZを$10で買い、後で$5で売却すると、$500のキャピタル・ロスが発生します。これらの損失は利益を相殺でき、もし損失が利益を上回る場合は最大で年間$3,000(Married Filing Separatelyの場合は$1,500)までOrdinary Incomeを相殺し、残りは将来の年度に持ち越せます。


2. 税率と所得の範囲

キャピタル・ゲインにかかる税率はさまざまです。たとえば、結婚しているカップルが共同で確定申告する場合(Married Filing Jointly)、課税所得が$89,250未満であれば0%、$89,250から$553,850の範囲では15%、$553,850を超える場合は20%の税率が適用されます(2023年)。これらの税率はQualified Dividendにも適用されます。


3. ウォッシュ・セール・ルール

投資家は年末になると、税金の軽減を目的に証券を意図的に損失で売却すること(Tax Loss Harvestingと言います)がありますが、これにはIRSのルールに気を付ける必要があります。例えば、売却から30日以内に同じ証券を買い戻すと、その損失は無効となります。これが「ウォッシュ・セール・ルール」と呼ばれるものです。買い戻した証券の簿価は、ウォッシュ・セールで無効になった損失の額で増加します。この簿価の調整により、買い戻した証券の売却までキャピタル・ロスの実現が延期されます。


4. ネッティング・プロセス

キャピタル・ゲインとロスの相殺処理はネッティング・プロセスを経て行われます。異なるカテゴリに分けられた利益や損失が、最も高い税率で課税される利益に優先して相殺されるプロセスです。


5. キャピタル・ゲイン/ロスの申告

納税者のキャピタル・ゲインとロスは、IRSフォーム1040のスケジュールDで申告されます。短期および長期のキャピタル・ゲインとロスが別々に計算され、利益と損失を相殺します。もし損失が利益を上回る場合は最大で年間$3,000(Married Filing Separatelyの場合は$1,500)までOrdinary Incomeを相殺し、残りは将来の年度に持ち越せます。


6. 例: マリーのキャピタル・ゲインと損失

具体例として、独身の納税者であるマリーが2023年に複数の証券取引を行い、$6,000の長期キャピタル・ゲインと$5,000の長期キャピタル・ロス、$3,000の短期キャピタル・ゲインと$8,000の短期キャピタル・ロスを抱えているとしましょう。この場合、マリーは$1,000の長期キャピタル・ゲインと$5,000の短期キャピタル・ロスが相殺されます。そして、残り$4,000の短期キャピタル・ロスは、$3,000がOrdinary Incomeと相殺され、残りの$1,000の損失は将来の税金年度まで持ち越されます。


まとめると、キャピタル・ゲインの課税は税率やルールを理解し、戦略的に計画することが不可欠です。この複雑なキャピタル・ゲイン税制で最適な結果を得るためには、投資家は正しい理解と情報に基づいて慎重に行動する必要があります。


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