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アメリカ大学進学のファイナンス①:高騰する大学進学費用

Writer: Hiroshi GotoHiroshi Goto

Updated: Feb 16


日本に比べてアメリカで桁違いにお金がかかるものに、大学進学費用があります。高騰する大学進学費用をどう準備するのか。複数回に分けて、アメリカ大学進学のファイナンシャル・プランニングについて整理していきたいと思います。初回の記事では、アメリカの大学費用の実体を見てみましょう。


アメリカ大学進学のファイナンス①:高騰する大学進学費用

 

大学でかかる費用とは

大学進学費用として真っ先に浮かぶのは授業料かと思いますが、それだけではありません。寮費(大学生は基本的に寮住まい)や教科書代などもあります。大学進学費用を考えるときは授業料(Tuition and Fees)だけでなく、Cost of Attendance(年間在学費用)全体を把握する必要があります。各大学はCost of Attendanceを開示していますので、関心のある大学名とCost of Attendanceを検索すると、簡単に確認することができます。

 

下のグラフは、2024-25年度のCost of Attendance(年間在学費用の平均推定値)をPublic (In-State)、Public (Out-of-State)、Private別に示したものです。Public (In-State)で約3万ドル、私立(Private)だと6万ドルを超えます。4年間だと約12万ドル(Public (In-State))から約25万ドル(Private)になります。


4年制大学の推定平均費用

 (出所)College Board(Trends in College Pricing and Student Aid 2024)


州立大学(Public)に進学する場合、住んでいる州の内(In-State)か外(Out-of-State。含む留学生)かで大きく費用が異なります。州立大学には州民の子女を教育する名目で州税が投入されており、州外の住民には授業料が上乗せされるためです。Out-of-Stateの州立大学に通った場合、4年間で約20万ドルとなり、In-Stateの州立大学より私立大学の費用に近くなります。


 

 

大学進学費用のトレンド

次に、これまでの大学進学費用の増加トレンドについて見てみましょう。

 

下のグラフは、インフレ調整後の授業料について、94-95年度から2024-25年度までの30年間の推移を見たものです。94-95年度を1とすると、2024-25年度はPublic (In-State)が2.02、Privateが1.75となっています。つまりこの間のインフレを控除したベースで、1.75から2倍になったことを示しており、名目ベースの授業料の増加はインフレを大きく上回ったことがわかります。


インフレ調整後の授業料の推移

(出所)College Board (Trends in College Pricing and Student Aid 2024)

 

ただこの数年については、2019-20年度にPublic (In-State)が2.24、Privateが1.82と最高値に達した後はやや低下しており、インフレ率ほど授業料は増加していません。コロナ禍で対面授業が制限されたこと、その後のインフレがあまりに急ピッチだったことが要因として考えられます。ただし、今後も授業料が安定しているかは分かりません。

 

下のグラフは、10年後の増加率に分解したもので、授業料の増加のほとんどは最初の20年(94-95年度から2014-15年度)に生じています(年平均にして3.0-4.5%程度)。


インフレ調整後の授業料:10年ごとの増加率

(出所)College Board (Trends in College Pricing and Student Aid 2024)

 

 

大学進学費用の準備は今後の増加も考慮

このように大学進学費用はインフレを上回って増えてきていますので、将来の大学進学費用を準備する際には、今後の増加も考慮する必要があるでしょう。

 

下のグラフは、2024-25年度の推定平均費用とインフレを除いた増加率3%の前提で、子どもの年齢別に大学進学費用を推定したものです。インフレを除いた金額ですので、将来の名目値ではなく、今のお金の価値(実質)でいくらかかるかの目安を示しています。


大学進学費用の予測

(出所)2024-25年度の推定平均費用をもとにインフレ調整後増加率を3%として計算


 

日本に比べると法外な値段です。とはいえ、大学進学費用を額面(Sticker Price)通り払う家庭・生徒はほぼいないと言われます。大なり小なり奨学金があるからです。次回記事では、アメリカの奨学金の仕組みについて見てみましょう。

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