Hiroshi Goto
リバース・モーゲージの基本
リタイアメント後の資産の中で持ち家が大きな割合を占めることがよくあります。他の資産や収入でまかなうことができない出費が見込まれるとき、自宅を売却せずに資金を得る方法の一つに、リバース・モーゲージがあります。この記事では、リバース・モーゲージの概要についてまとめます。
リバース・モーゲージとは
リバース・モーゲージは通常のモーゲージと同じく、自宅を担保に入れて資金を借ります。ローンとして一括で借り入れるほか、必要な時に引き出せるクレジット・ライン(信用供与枠)という方法などがあります。一括ローンは固定金利、クレジット・ラインは変動金利です。
リバース・モーゲージならではの特徴としては、
自宅の所有者(共同所有の場合どちらか)が62歳以上であることが条件。
月々返済の必要がない。利息はモーゲージ残高に加算される。
所有者が他界、他の場所に1年超居住、自宅を売却、必要な修理・Property Tax支払い・Homeowner Insurance加入などの義務を果たさない時に、モーゲージ返済義務が生じる。レンダーは自宅を売却し、元本と利息の返済に充てることができる(残額は、所有者が亡くなっている場合はエステート(相続財産)に、存命の場合は所有者に支払われる)。
モーゲージの元本・利息残高が自宅の売却価格を上回っていても、その分の返済義務はない。
があります。
最も一般的なリバース・モーゲージは、米国政府によって規制されたHome Equity Conversion Mortgage(HECM)と呼ばれるもので、リバース・モーゲージを借りるとしたらほとんどがHECMになります。Federal Housing Administration (FHA)に認可されたレンダーから提供されます。
リバース・モーゲージの注意点
自宅を売却せずに借り入れる方法としては、ホーム・エクイティ・ローンもあります。まずは、リバース・モーゲージとホーム・エクイティ・ローンのどちらが自分の資金ニーズ、返済力に適しているか検討するといいでしょう。
そして通常のモーゲージを借りる際と同じですが、リバース・モーゲージもレンダーによって金利が異なりますので、複数の業者から見積もりをとり、比較・検討することが大切です。加えて、クロージング・コスト等付随するコストもよく吟味しましょう。
また借りた後は、自宅に居住し必要な修理・維持の条件を満たさないと、レンダーに抵当権を行使される可能性があります。Property Taxをきちんと支払い、Homeowner insuranceに加入し続ける必要があります。
まとめ
リバース・モーゲージはリタイア後の資金ニーズを満たす有用なツールになる可能性がありますが、リバース・モーゲージを悪用した詐欺行為(Scam)が後を絶たないことや、Property Tax不払いなどの理由で抵当権を行使され自宅を退去せざるを得なかった事例などメディアのセンセーショナルな報道もあり、普及は道半ばです。
ただリタイア後の不意な出費(介護や医療など)で自宅以外の資金捻出手段がない時、もしかしたらリバース・モーゲージを検討することになるかもしれません。そのような時のため、リバース・モーゲージの存在や概要は頭の片隅に入れておきたいところです。
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