リタイアメント後の長期のキャッシュフロー(資金収支)を計画する際、加入プランによる保険料のほかに、どの程度の自己負担額を見込めばよいのでしょうか。統計データから考えてみたいと思います。
メディケアの保険料
以前メディケアの基本について記事にまとめました。保険料としていくらかかるかは、どのようなプランを選ぶかによって異なります。
Part A(Hospital Insurance)はメディケア税納税期間10年以上で保険料なし、Part B(Medical Insurance)の2024年標準保険料(月次)は$174.70(年間合計$2,096.4)です。
この他にPart D(Prescription Drug Plan)やメディギャップ(メディケア・サプルメント)を加えるか、それともPart A/Bを代替するMedicare Advantage Plan (Part C)に入るかといった幅広い選択肢があります。
Part C、D、メディギャップは民間保険会社が提供するもので、 保険料やカバレッジ、自己負担額などを確認し、自分の医療ニーズにあったプランに入ることが大切です。
年齢別の自己負担額
以下のデータを見ると、2020年において、65歳以上は平均$2,960の一人当たり自己負担額が生じています。65-84歳と85歳以上に区切って見ると、85歳以上では$6,160と65-84歳$2,525の倍以上の費用になっています。
出所:Centers for Medicare and Medicaid Services, Office of the Actuary, National Health Statistics Group
また、2002年、2010年との比較では、2002年から2010年にかけて年齢区分によって13-25%と大幅に上昇している一方、2010年から2020年は4-8%とだいぶ落ち着いています。ただ、今後も医療コストの上昇は避けられないでしょう。
上記はあくまで平均値の話で、実際には医療コストは健康状態により大きな偏りがあります。Peterson-KEF Health System Trackerによると、自己負担支出額が大きい上位10%の人が自己負担額全体の68%を支払っています。
結論
さて、このデータからリタイアメント・プランニングにおける医療コストについて何が言えるでしょうか。
もしリタイア前の段階でどのようなメディケアに入るかも未定の場合、保険料と自己負担額を合わせて65-84歳は$5,000(夫婦で$10,000)、85歳以上は$10,000(夫婦で$20,000)は少なくとも見込んでおきたいところです。特に若いうちは毎年その金額を使い切らないかもしれないですが、余った分は将来の病気(高額な治療費)に備えた積立てと思いましょう。
上記の統計データにはDentalとVisionは入っていないので、この分の保険料と自己負担額(コンタクト・レンズなど)は別途想定する必要があります。
すでにメディケアに入っていて年間の保険料や自己負担額のめどがある場合、近い将来についてその金額に基づいて医療コストを見込んで問題ないですが、年齢に応じてより多くの金額を計画する必要があるでしょう。
また上記の医療コストについて、将来的に長期インフレーション程度(2-3%)の上昇を見込んでおきましょう。