アメリカの介護保険
- Hiroshi Goto
- Feb 20, 2024
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「アメリカの介護事情」で介護が必要になる人の割合、介護期間、介護費用などをまとめました。日本と違ってアメリカでは公的な介護保険・制度は整備されておらず、一旦介護を必要とする状態になると、介護のコストはかなり高額になる可能性があります。

備えるのが難しい介護
介護はタイミング、期間、費用を予測することが困難で、リタイアメント・プランニングの中でも組み込むのが難しいテーマの一つです。それもあってか、The Associated Press-NORC Center for Public Affairs Researchによれば、40歳以上のアメリカ人の72%(2020年)は将来の介護ニーズについてほとんど、または全くプランニングしたことがないとのことです。
現実的に介護費用に備える方法は、自己資金を準備するか、長期介護保険に入るかです。自己資金を準備する場合、Genworth Financial Cost of Care Survey 2021を参考にできますが、どのぐらい準備すれば安心かという基準はありません。一人分の目安として(今の価値で)10万ドル×2-3年分と言われることもありますが、それで十分な場合もあれば、それ以上必要になる場合もあるでしょう。
介護保険
このような予測困難なリスクに対しては、保険の仕組みが有効なはずです。しかし、公的な介護保険が整備された日本と違って、民間保険の市場に託されているアメリカでは、必ずしも手が届きやすい商品になっていないのが実情です。
介護保険には、介護保険単体で販売されているものと生命保険とのセットで販売されているものがあります。
介護保険単体商品は、度重なる保険料の値上げがあった影響もあり、近年は不人気で販売は落ち込んでいます。
生命保険とのセット商品は、掛け捨てにならず死亡時に保険金が支払われますが、その分保険料は高くなり、また商品設計も複雑になります。
介護保険のチェックポイント
加入年齢によって異なる保険料(年齢が上がるほど高くなる)もさることながら、以下のポイントをよく確認してください。
給付の種類
一部の保険は、高度看護施設や在宅介護など、異なる種類の介護に対して異なる給付額を提供しています。検討対象の保険がどの種類の介護を保障しているか、詳しく確認する必要があります。
給付期間と金額
一部の保険は、給付期間に定めがあります。この場合、期間が終わると給付も終了します。対照的に、一部の保険は資金プールのアプローチを提供し、最大給付金額に達するまで給付が行われます。
給付保障の夫婦間共有
一部の保険は、加入する夫婦間で給付保障を共有できるようにしています。これは柔軟性を提供する、好ましい特徴と言えるでしょう。
保険会社の信用力
長期の加入期間にわたって給付金の支払い能力を担保するため、格付などを参考に信用力の高い保険会社を選びましょう。
課税
保険は、適格(qualified)、非適格(non-qualified)に分類されます。適格保険は、保険料全額または一部が所得控除でき、給付は非課税になります。非適格保険は税メリットが受けられませんが、商品特性上、他に利点がある場合があります。
まとめ
介護のリスクにどう備えるかは、リタイアメント・プランニングの大きなテーマです。多くのアメリカ人が陥るように、介護が必要になる可能性やその際の高額なコストなど考えたくない気持ちもわかります。しかし、一旦介護を必要とする状態になると、介護のコストはかなり高額になる可能性があります。アメリカを終の棲家とする場合、検討は避けて通れないトピックでしょう。