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日米租税条約:アメリカ居住者が日本の年金を受け取った場合の課税

Writer's picture: Hiroshi GotoHiroshi Goto

Updated: Aug 12, 2024

リタイア後にアメリカに住んでいる人が厚生年金など日本の年金を受け取った場合、どのように課税されるのでしょうか。日本とアメリカの間には日米租税条約があり、年金所得については居住地国でのみ課税されることになっています。今回の記事では、アメリカ居住者が日本の年金を受け取った場合の課税について詳しく見ていきます。

 


日米租税条約

 

年金は居住地国での課税のみ

すでに述べたように、アメリカの居住者が日本の年金を受け取った場合、当該年金所得は日本では課税対象ではなく、アメリカでのみ課税されます。

 

ここでいう年金には、国民年金、厚生年金、個人年金保険、確定給付企業年金、確定拠出年金を含みます。これらすべてが、支給元である日本では納税する必要がない一方、アメリカの確定申告に含めなければいけません。これらはその特性に応じて、IRSが定めるところのPensionまたはAnnuityとして課税されます。


日本の公的年金であっても、アメリカのソーシャル・セキュリティについての優遇的な税制は受けられません。日本でアメリカの年金を受け取る場合に公的年金等控除がソーシャル・セキュリティにも適用されるのとは対照的です。

 

 

所得税源泉徴収の免除手続き

日本で年金が支払われる際に、所得税が源泉徴収される場合があります。これを避けるためには、支払い元に対して、所得税源泉徴収の免除手続きを行う必要があります。例えば、日本年金機構では、手続き方法を「年金を受けている方が海外に転出するとき」で案内しています。なお、年金額が所得税を源泉徴収する基準(65歳未満60万円、65歳以上114万円)に達していない場合は、手続きは不要です。

 

書類としては、以下の3つが必要になります。

 

このうちIRSのForm 6166を取得するには、Form 8802を提出してIRSに発行を依頼する必要があります。IRSのウェブサイトには少なくとも45日かかるとありますが、それ以上の期間を見込んでおいた方が無難でしょう。発行手数料は85ドルです。

 

源泉徴収免除の手続きをしなかった場合や支払元に源泉徴収免除の取り扱いがない場合、日本で確定申告を行い、源泉税の還付を行うことが可能です。

 


まとめ

日米租税条約のおかげで、日本の年金をアメリカで受け取る場合はアメリカでの課税のみとなり、二重課税は回避できます。

 

ただし、源泉所得税が徴収される場合には、事前に免除手続きを行うか、事後的に日本での確定申告を行うかとなり、アメリカに住んでいる方には手間や時間、コストがかかります。

 

具体的な手続きは年金の支払元に確認する必要があり、またIRSのForm 6166は発行までかなり時間がかかりますので、十分な余裕をもって手続きを進めたいものです。

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