ソーシャル・セキュリティ:もし給付過払いの返還請求通知がきたら
ソーシャル・セキュリティ・アドミニストレーション(SSA)は年間約100万通の過払い返還請求を行っているそうです。過払いは、本来受け取るべき以上の給付を受け取っていた場合に発生します。今回の記事では、この過払いの問題について見てみたいと思います。
過払いの原因
過払いには、以下のような原因が挙げられます。
SS給付を受けながら働いていて、所得テストにひっかかった(ソーシャル・セキュリティ:所得テストのわな)
棚ぼた防止規定(Windfall Elimination Provision, WEP)やGovernment Pension Offset(州年金の受給による配偶者年金の減額)の規定を認識しておらず、それら減額の対象になる年金受給を報告していなかった
これら以外にも、SSAの間違いとしか言いようがない原因で過払いが発生します。ご興味のある方は、以下の記事(CBS 60 Minutes)をご覧ください。
そして、原因がSSAにあろうがなかろうが、過払いが判明した時点でSSAは全額返還の請求を行います。恐ろしいことに、過払いの請求には時効がないため、何年でもさかのぼって金額を請求するため、請求額は多額になることがあります。これはソーシャル・セキュリティで生計を立てている人にとって、大変な苦痛になります。
過払いの返還請求通知
返還請求通知には、以下の情報が含まれます。
過払いの理由
過払い額
返還方法
異議申し立て(Appeal)、免除申し立て(waiver)の権利
返還方法は、通常は一括返済か、毎月のSS給付から徴収される形になります。
通知を受け取った場合の対応
一旦通知を受け取ったら、迅速に行動する必要があります。まずは、過払いの金額自体が100%正確かどうか分からないため、Social Security Officeに電話か訪問し、過払い額計算の内容をきちんと確認します。
その上で、取りうる選択肢としては、以下があります。
過払いの返還(通知受け取り後30日以内)
Appeal(Form SSA-561:過払いの事実や金額の異議申し立て)の提出(通知受け取り後60日以内)
Waiver Request(Form SSA-632-BK:過払い返還請求の免除申し立て)の提出
分割返還プラン(12-36カ月)についての折衝
SSAによる最近の発表
SSAは、2024年3月に以下の発表を行いました。
過払い額の返還をSS給付から徴収する場合に、SS給付の10%をデフォルトとする
立証責任をSS受給者からSSAに移す
最大60カ月の返還プランを容認する
過払いの原因がSS受給者の過失ではない、またはSS受給者に返還能力がない場合に、返還の放棄を容易にする
CBS 60 Minutes記事にあるように、突然の多額の返還請求はSS受給者に大変な困難をもたらしかねないもので、今後どのようにSSAの対応が推移していくか注視していきたいです。