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Writer's pictureHiroshi Goto

ソーシャル・セキュリティ:日本への永住帰国後も支給されるか

Updated: Aug 22

「日本に永住帰国した場合にソーシャル・セキュリティをもらえますか」というお問い合わせをよくいただきます。今回の記事では、この質問に対する回答をまとめたいと思います。

 


日本への永住帰国

 

ソーシャル・セキュリティの給付

まず結論ですが、日米社会保障協定により、ソーシャル・セキュリティ(老齢年金遺族年金配偶者年金被扶養者年金、障害年金ともに)は日本に帰国した後でも支払われます。

 

詳しくは、こちらのSocial Security Administration(SSA)のウェブページに記載されています。

 

このウェブページを見ると、

Generally, we cannot pay Retirement, Survivors, and Disability Insurance benefits to noncitizens after their sixth calendar month outside the United States.

とあるのでドキッとしますが、

However, you might qualify for an exception, which could allow you to receive benefits without visiting the United States.

と続き、日本人が日本に帰国した場合はこの例外の一つにあたります。

 

詳しい規定は、Your Payments While You Are Outside The United Statesにまとめられています。この中の「Conditions for payments to continue while you are outside the United States」の「3. We will continue your U.S. Social Security payments if you are a citizen of one of the countries listed below:」にJapanが記載されています(5ページ目)。

 

また、米国籍の方については、2ページ目に以下のように記載があり、日本でも給付を受けられることが分かります。

If you are a United States citizen, you may continue to receive payments while outside the U.S. as long as you are eligible for payment and you are in a country where we can send payments.

 

なお、日本帰国後もSSAに以下の項目の報告する必要がありますので、お気をつけください。詳しくは11ページ以降の「Things you must report」をご覧ください。

1. Change of address.

2. Work outside the United States.

3. If your disability improves, or you return to work, after qualifying for disability benefits.

4. Marriage.

5. Divorce or annulment.

6. Adoption of a child.

7. Child leaves the care of a spouse or surviving spouse.

8. Child nearing age 18 is a full-time student or has a disability.

9. Death.

10. Inability to manage funds.

11. Deportation or removal from the United States.

12. Changes in parental circumstances.

13. Eligibility for a pension from work not covered by Social Security.

 


日本帰国後の確定申告

日米租税条約により、年金の課税は居住地国での課税になります。したがって、日本に帰国後は、日本の確定申告の中でソーシャル・セキュリティの収入を「公的年金等の雑所得」に含めます(日米租税条約:日本居住者がアメリカの年金を受け取った場合の課税)。

 

米国籍・永住権を持ってない方は、日本の確定申告だけで完了します。

 

米国籍・永住権を保有している方は、日本の確定申告に加えて、アメリカの確定申告も必要になります。アメリカは、米国籍・永住権保有者に対して全世界所得を課税対象にしているためです。ただし、二重課税回避のため、アメリカの確定申告において、日本での納税額の全部または一部について外国税額控除を取ることができます。日本での納税額全額の外国税額控除が可能な場合は、アメリカでの納税額は、日本での納税額を上回る部分のみになります。

 

 

まとめ

昨今は円安により、アメリカに比べて(ドルベースでの)日本の生活費が格段に低くなり、またおいしい食事やアクセスしやすい医療、良い治安など快適な生活環境のため、リタイア後は日本への帰国を考える方が多いようです。

 

上記のように、ソーシャル・セキュリティは日本に帰国した後でも支払われます。

 

ただし、例外規定の一つであるため、SSAの担当者がよく理解していない可能性もあるようです。万が一給付が止められるようなことを言われた場合には、上記の根拠を示してしっかり反論しましょう。

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