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Writer's pictureHiroshi Goto

ソーシャル・セキュリティ:老齢年金はいつから受給すべきか

Updated: Jun 9

ソーシャル・セキュリティ:標準受給開始年齢と繰り上げ/繰り下げ受給」で、ソーシャル・セキュリティの老齢年金は62歳から70歳の間で年金請求(受給開始)可能で、受給開始年齢により月次支給額は最大で77%の開きがあることを説明しました。今回のブログでは、受給開始年齢を決める際の考え方について、整理したいと思います。 


老齢年金はいつから受給すべきか

ソーシャル・セキュリティの特性

ソーシャル・セキュリティの老齢年金は、物価の伸び率に連動した年金が一生涯支払われるという特徴があります。このような特徴を持った年金商品を民間で見つけることは難しいでしょう。また、ソーシャル・セキュリティの給付金は最大でも85%までしか課税対象になりません(アメリカのソーシャル・セキュリティ税制:年金受給者への影響)。税制的にも非常に優遇された特性を持っています。


したがって、基本的な考え方として、なるべく受給を遅らせてソーシャル・セキュリティの給付額を大きくした方がいいということになります。


特に夫婦の場合には、片方の配偶者が亡くなった場合、夫婦の高い方の年金支給額が継続することになります。例えば、ある夫婦で夫の所得実績に基づいて老齢年金と配偶者年金を受給するケース(ソーシャル・セキュリティ:家族が受け取れる年金)で、夫と妻の年齢差が5歳(妻の方が5歳若い)、余命の差が5歳(妻の方が5歳長生き)とします。すると、妻は夫の死亡後10年間、夫の年金受給額を遺族年金として受け取ることになります(配偶者年金は支給停止)。このケースでは、夫の年金を繰り下げ受給することが、妻が寡婦として受け取る遺族年金(夫婦の生涯受給額)を増やすことにつながります。

 

その他の考慮すべき要素

しかし、やみくもに受給開始を遅らせればよいという訳でもありません。


まず、受給を開始するまでの生計をどのように立てられるかという問題があります。受給開始まで働き続けられるということであれば、問題はないでしょう。しかし、リタイアと受給開始までに間が空くということもよくあります。その収入の空白期間の生活のために、401kやIRAなどの貯えや不動産など手持ちの資産からの収入を充当できるかどうか検討してみる必要があります。


また、誰も何歳まで長生きするか正確に予想することはできません。だからこそ、終身支給されるソーシャル・セキュリティはとてもありがたいと言えますが、70歳で繰り下げ受給開始後に短命で亡くなってしまったらいかがでしょう。早く受給した方が生涯受給額は多かったことになります。


その他にも、リタイア予定の年齢(Primary Insurance Amount(PIA)に影響)、家族構成(ソーシャル・セキュリティ:家族が受け取れる年金)、厚生年金の有無(棚ぼた防止規定(WEP)によるソーシャル・セキュリティ減額の可能性)も考慮に入れる必要があります。

 

最終的には

老齢年金をいつから受給すべきかの判断は、サイエンスとアートです。

サイエンスの部分は、ソーシャル・セキュリティ最適化ソフトウェアRSSA Roadmapのようなツールを使って、ご自身、配偶者の年齢やPrimary Insurance Amount(PIA)などをもとに、全ての受給開始年齢における生涯受給額、月次および年間受給額をシミュレーション(見える化)することができます。


[ 生涯受給額:夫婦の受給開始年齢による違い ]


生涯受給額

[ 月次受給額:夫婦の受給開始年齢による違い ]

 

月次受給額

また、夫婦の余命による生涯受給額の違いもグラフ化し、繰り上げ・繰り下げ受給による生涯受給額がほぼ同じとなるブレークイーブン年齢を探ることもできます。


[ ブレークイーブン分析:夫婦の余命による生涯受給額の違い ]


ブレークイーブン分析

しかしながら、受給開始年齢の選択に、唯一の正解はありません。最終的には、ご自身のリタイア後生活のイメージや必要生活費、価値観に基づくアートの判断(i.e. どの受給開始年齢による受給額で良しとするか、様々なシナリオを考慮してベスト・バランスか)にならざるを得ないでしょう。


当ブログでは、具体例としていくつかの前提条件をおいたケース・スタディについても、今後ご紹介していきたいと思います。


当社では、個々のクライアントの最適な年金請求年齢を探すお手伝いをさせていただきたいと考えております。受給額シミュレーションや分析レポートを活用したリタイアメント・インカム・プランニングを承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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